リアップへの道

がたろの育毛日記

 家系的にははげる確率は半分だった。父は七十歳をぎても髪は充分あったが、母方の親戚はほぼ全滅であった。法事などで髪が後退していく従兄弟たちを見ても、自分だけは大丈夫と胸をなで下ろしていた。
しかし、四十歳を過ぎる頃から急に抜け毛が増え始める。風呂場で洗髪後の髪の毛のかたまりにびっくりする。私の場合は頭頂部から抜け始める河童型であった。そのころ始まったJリーグにアルシンドというブラジル人選手が来たが、子どもたちは「パパ、アルシンドだね」と心ないことを言う。なるほど言われてみるとそうであった。アルシンドほどではなかったが鏡に向かってうつむき加減に頭を見ると、はっきり頭の形がわかるようになっていた。これはやばい、と思いながらもじたばたするのは見苦しいという気持ちが強かった。「はげるのならはげたでいいよ、おれは九一分けなんて未練たらしいことはしないから。はげてきたらいっそスキンヘッドになりますよ。仕事でミスしたって、いやあ、このやかん頭に免じてここはひとつご勘弁をって、頭たたけて便利だろ。」やけくそであった。

1999.9.13 
 発売当初は品薄だった○アップが薬局の店頭に並ぶようになる。治験に関係した皮膚科の友人の情報では、「これは効く」ということであった。見苦しいことはしないはずだったのだが、こういう信念はころっと変わるものである。君子は豹変するのである。半分冗談、半分本気で増毛大作戦を開始することにした。
使用開始前の写真撮影を息子にたのむ。なぜか本気でいやがるのを無理矢理頼んで撮ってもらう。息子にとっては父方はまだしも、妻の家系はもっと"髪の毛不自由系"なので暗い気持ちになるのかもしれない。妻は髪の毛のある父親を知らないと言う。確かに息子の髪の毛の将来は私よりずっと暗い。


1999.11.28
リアップ使用後2ヶ月半。誰も気づいてくれないのが悲しい。自分で鏡を見ている限りでは地肌の透けが少なくなったと思うのだが、、、
こっそり髪の毛を増やしてみんなを驚かせたいのだが、それまで黙っていられない性格である。結局効果判定の6ヶ月を待たずにしゃべってしまう。当然のことながら誰も驚いてはくれない。
血管拡張作用に伴う副作用は自覚的には認められない。残念ながらあちらの方にも影響はないようだ。


2000.2.12
使用後5ヶ月が経過した。いつも行く理容室は人が変わるのでなかなか同じ人に当たらない。「どう、何か変わったことない?」とかまをかけてみたいのだがそれができない。鏡に映る姿は確実に増えているのだが。
そろそろお約束の6ヶ月が近づいてきた。これ以上はあんまり増えないかもしれないので、ここらで第3弾を公開する事にした。写真を見たら、う〜ん、増えてる増えてる。そういえばこの前、後ろ姿を他人と間違えられた。太ったからだという説もあるが、確かにその説は否定できない。



2001.7.22
 
○アップを始めて1年10ヶ月が経つ。1日2回は強迫神経症のように頭にこびりついている。やめると元通りと言われれば、これは浦島太郎が玉手箱をかかえてるようなものだ。一本で約一月、年間12本使うとして6万円あまりをこれから毎年○正製薬にお支払いしていくわけである。考えてみればこれはビッグな顧客群である。
 この育毛日記をホームページで公開したときにある女性から、髪の毛のあるなしなんて男性が気にするほど私たちは気にしてないよ、と言われた。確かにそのとおりだろう。ジェームズ・ボンドをやっていた頃のショーンコネリーもセクシーでかっこよかったけど、インディ・ジョーンズの親父役ででてきたはげ上がったショーンコネリーもいい歳の取り方をしている。それでも、やっぱり、残せるものなら残ってほしいなというのが本心である。「はげ親父」などと言われるとニッポンのお父さんは深く傷つくのである。
 髪の毛が増えた頃から、趣味のマラソンの記録がぼろぼろになってきた。生活が変わって練習時間が無くなったのが最大の原因だが、自分には髪の毛の方にエネルギーが行ってしまったように思えてならない。ある日魔法使いのおばあさんが現れてフルマラソンで3時間を切らせてあげるかわりに、髪の毛を全部いただくけどどうだい?と言ってきたらどうしよう。考え出したら今夜は眠れない。

しばらく更新をさぼっていると○アップのほうも油断してさぼりがちになる。久しぶりに写真を撮ってみたら、結構やばくなってるではないか。また、まじめに一日二回をやらなくては。


2001.10.20
某○アップのCMによると10月20日は「頭髪の日」であるそうな。すっかり髪の寂しくなった掛布君が「よしっ、始めるか」と言ってもあそこまで行くとどうだかなあ。でもあの掛布のヘアセットってすごく難しいと思う。あの産毛みたいな毛をセットしてるんだもの。
久しぶりに写真撮影しようと息子を捜すが最近家でとんと見かけない。夜は図書館で勉強ときたもんだ。家だと集中できないからとぬかす。
金髪に無造作ヘア(無造作にするのに毎朝30分もかかる)という親の顔が見てみたいようなどら息子である。そんなに手間のかかる髪なんか切ってしまえと怒鳴ることもあるが「僕ってどうせはげるんでしょう?だったら髪の毛のある間は好きなようにやらせてよ」と反論してくる。うーむ、ごもっとも、お大事に。
というわけで、今日は写真撮影ができなかった。まあ、自己診断ではあんまり変わりはない。これ以上は無理みたい、でもやめたら、、、、


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